事業報告
2012年(年度)事業報告2012年4月1日から2013年3月31日まで
1、事業の成果
障害者自立支援法の障害福祉サービス事業所を運営して5年が過ぎ、私たちの事業所は大きな転換点に立っています。
1999年、設立した当初、私たちは具体的目標を三つ掲げていました。
ⅰ)市民による市民のため精神保健福祉サービスを生み出すため、
ⅱ)次世代を担うスタッフと、
ⅲ)安定した財政基盤をつくりだす。
これらを目標として、活動を進めるためのいくつかの理念・手法がありました。
一つは、当事者はサービス利用者であり、NPO会員・役員でもありえるという複数の役割、立場の相互性を大切にしてきました。そして、健常者/障害者、スタッフ/利用者という違いを認め合いつつ、共に目標にむかう協働関係を基本的な手法に位置づけてきました。さらに、これらが成り立つよう、情報の透明性を心がけ、できる限り分業を避け、多くの人で話し合うよう機会を設けてきました。
このような直接民主主義的な進め方によって、いくつもの問題が起きましたが、それでも2007年頃まではそれなりに機能してきました。
2007年に障害福祉サービス事業所を始めたとき、ⅰ~ⅲの目標の半分以上は表面的には達成されたはずですが、同時期に発生したシビアな課題に対応するため、運営能力を高めなければなりませんでした。その結果、役員に障害者が占める割合が低下しました。相互的ではなく分業的傾向を強めざるをえませんでした。
また、NPOと障害福祉サービスとの間に、活動や価値の分離が生まれました。NPO活動を含めて考える人たちと、障害福祉サービスを重視する人たちが混在するようになったのです。協働関係もむずかしくなりました。
徐々に、私たちNPOの基本的な姿勢であった相互性と協働性が薄まったのです。
活動の基盤が揺らぎ、創造力が低下したとき、個々人のニーズに対応できる力が乏しくなり、この1年、事業所の職員・利用者のいろいろなトラブルが生じました。これは、5年間の負の部分の「総決算」であったのかもしれません。昨年度と比較すれば活動量が10~15%程度減少し、財政も縮小しました。
トラブル対応に追われた日々でしたが、雪の下から芽吹くように小さな営みが生まれました。
サービス利用者の若い人たちの新しい活動。利用者だけで自発的に仕事を担おうとするできごと。地域に開いていこうとするグループホームひいらぎの実践。他のNPOや事業所とのより良い連携への模索。企業からの研究助成を10年ぶりに着手。新たな出会いや関係…。
私たちのいまかかえている課題を超えてくれるかもしれない、これらの営みを一つ一つ振り返れば、実は、相互性・協働性から生まれたものであることに気づきます。
設立当初から大切にしてきた理念を維持しつつ、一方で、状況に対応できる体制を構築しなければなりません。そして小さな営みが発展する環境と支援を樹立しなければなりません。
課題と問題は凝縮してきました。私たちは、いま、問題意識を共有しつつ、新しい方向にむかう力強い協働が求められているのです。
2、事業の実施に関する事項
(1)特定非営利活動にかかる事業
事業名 |
事業内容 |
実施日時 |
実施場所 |
従事者数 |
受益対象者の範囲及び人数 |
支出額 |
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サンネット事業 |
講演会2回開催。市民との交流を図り、NPOとの連携活動を行った。 |
随時 |
青森県内 |
6人 |
不特定 |
1,078,620 |
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収益事業 |
就労継続支援事業B型 地域サービスセンターSAN Net |
地域サービスセンターSAN Netの運営を行った。 |
日曜・祝日を除く年間295日。一日8時間。 |
青森市 |
9人 |
事業利用者70人(直接の受益者)及び |
27,978,481 |
相談支援活動、一人暮らしの支援、女性当事者の支援を行った。 |
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宅配、花作業、ポスティング作業など種々の活動を展開した。 |
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共同生活援助事業 ワーカーズコレクティブハウスひいらぎ |
退院援助、入院した利用者への連絡調整、外泊支援など多様な支援を行った。 |
通年 |
青森市 |
4人 |
利用者7人など10人 |
8,111,351 |
(合計37,168,452円)
(2)その他事業
なし